雪が消え、春風が吹いた
鯉のぼりの季節ともなると
めっきり緑がふえる
自室の窓越しに見える山頂は
まだアンバー色のまま、芽吹きを待っていた
手前には、地元中学の寮がある
定員70名、以前は満室の部屋も
今はほんの数名 この寮だけは、
秋風のようだ
まぁ、部屋を独り占め出来ると思えば
これもまたリッチなそよ風か!!
そんな彩りを見せる窓辺で一人つぶやいた
「春風 秋風 つむじ風、
どんな風だろう、こんどの風は、
まぁ~いいさ、マイペース マイペース」
チ・チ・チッ チ・チ・チッ
「たいくつだな~・・・・」
チ チ・チッ・チ チッ・チ チ
「何か面白い事ないかな~?・・・」
チッ・チッ・チ チッ・チ
「かくれんぼでもしようか!」
チ チ・チッ・ チ チ・チッ・
「だってどこにかくれるのさ?」
チッ チッチ・・・・
「あ、そうか・・・・」
チ・チ・チッ チ・チッ
「あのね、いいお話があるの・・・・」
チッ・チ チッ
「なに、なに・・・・
」
チ・チ・チ・チッ チ・チッ
「う、うん、うん・・・・」
・・・・・・・・・チッ
「・・・・・・・・ねぇ」
チ・チッ
「ふぅ~ん!?」
チッチ チッ・・・・
「なに、なに、ぼくにもおしえて~・・・・」
チッ・チッ・チ チッ・チ
「おしえないよぉ・・・・ ないしょだよぉ!!」
手前の大石に身を隠すように
やや上流のたるみにフライをキャストした
フライがうまく流れにのった
・・・・が、
何事もなくドラッグが掛かり始めた
「なんだ反応無しか・・・・」 と、その時
一瞬のすきを突くかのように、
フッとフライが消えた
こういう出方をするのは、
えてして大物だ
案の定、
なかなか寄せられない
バラさないよう慎重にやりとりし
ようやく手にしたのは
36センチの白斑の大きなイワナであった
しばらくして
「何事もなかったかのようにリリースした・・・・」
などと、釣り雑誌などでは書くところではあるが
この釣り人は違う
まず、あたりを見回す
誰もいないのを確認した後
・ ・ ・ ・
「ニタニタ」とほくそえんだ
そして、しばらくして
こんな時に限って、
自慢する同行者がいない事に
唇をかむのであった
何度目の蔵王だろう・・・・?
まだ明けやらぬ冷たい朝
いつもの仲間と連れ立ち
迎えのワゴンに乗り込む
これまで、比較的好天に恵まれた蔵王
が、今回はアウト
山頂付近は吹雪きのため視界ゼロ
ただ、ここ数日の降雪で特上の雪だ
「吹雪を恨もうか、それとも良質の雪と遊ぼうか?
同じ一日、極上の雪を目一杯楽しもうや・・・・
ウン~ 詩人だなぁ~・・・・・・ 」
などと
背筋がざわめくような笑い話をしながら滑り始める
さいわい、午後からは陽も射し始めた
丸太造りの温泉につかり、買い物をして
そして、夜は・・・・・
お楽しみの後は
宿の窓越しに見える、ホテル街のスケッチだ!!
年に一度
仲間とのスキー・ツアー
やめられないなぁ~・・・・・
冬と言えば、どこの屋根も、
白と相場が決まっていた。
時代と共に、茅葺き屋根も
めっきり少なくなり、
そんな中、茅葺きにトタンをかぶせた、
屋根が現れた。
それが今では、モノトーンの世界に、
赤や青の彩りを添えている。
どんよりとした冬の一日。
そんな日の空は、決して冷たい物ではない。
むしろ、ほんのりとした温かさがある。
ブルーともグレートも、いやパープル・・・・
それらをうす~くミックスしたような
なんとも言えぬ色合い。
そんな空には、赤い屋根がよく映える。
ここに住まいをする者には、
そのような景色に幾たびか出合う。